日本の化粧品ブランドのフランス進出に必要なこと
日本化粧品ブランドのフランス進出についてのお問い合わせが増えております。
EU/UK化粧品法規制に準拠した化粧品安全性評価および登録等、EU化粧品規制に関するコンサルティング全般を行うTaobé ConsultingのKari Owenさんに今回記事を執筆いただきました。
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「日本の化粧品ブランドのフランス進出に」おいて必要となる規制対応とは?」
近年欧米では、再びMade in Japan の製品を求める消費者が増えてきています。
また歴史的な円安が続いた背景もあり、日本製品を輸入する海外企業も増えてきました。
インバウンドの観光客が増加する中、海外消費者が日本製品にふれる機会も増えてきており、これもまた日本製品の需要の追い風となってくるでしょう。
なかでも日本のスキンケア商品は、優れた機能性と高い品質で欧米でも高く評価されています。
また、Jビューティ独特のミニマリズムなアプローチも人気の理由の一つとなっています。
多くの化粧品ブランドが海外進出時に輸出先として選ぶ国の1つに、化粧品の先進国であるフランスがあります。
この記事を読まれている皆様も、既にフランスでの展示会出展やヨーロッパ進出を検討されているのではないでしょうか。
日本から化粧品を海外輸出する際に避けて通れないのが各国の規制です。
現在、世界の化粧品規制をリードし、各国の規制に大きな影響を与えているのが欧州の化粧品規制 – Regulation (EC) No. 1223/2009 です。
最近約100年ぶりに改定された米国の化粧品規制もEU規制に同調した規制内容になっています。
世界で最も厳しいと言われているEU規制を先にクリアすることで、規制面においてその後の海外展開は非常に有利になります。
ここではフランスおよびヨーロッパ進出時に、販路開拓と同時進行で対応していく必要がある欧州の化粧品規制についてご案内いたします。
欧州の化粧品規制:必須要件とは?
フランスをはじめとするヨーロッパのEU化粧品規制 (EC Regulation 1223/2009) に遵守するためには、下記3つの要件を満たす必要があります。
1. EU向けPIFの作成
① 成分の適合性チェック + 毒性評価
EU規制への適合性を確認する成分チェックおよび毒性評価を実施します。
成分の適合性と毒性が確認できてはじめて次のステップとなる安全性評価を実施できます。
日本から欧州への輸出時の注意事項:
日本の化粧品メーカーでは、EUで規制や禁止されている成分チェックを実施しているところは多いようですが、現在出されている最新の草案や関連規制までは対応していない場合が多いため注意が必要です。実際、EU適合の処方で製造してもらっているという日本のブランドさまの製品の成分チェックを実施すると、まもなく規制や禁止されることが確定している成分が含まれていたといったことは決して珍しくありません。また、ヨーロッパでは各国独自の法令もあるため、例えば欧州では販売可能なナノマテリアルの成分であっても、フランスの法令によって販売ができないといったこともあります。
② 安全性報告書の作成 (CPSR)
PIFの大部分となるのが化粧品安全性報告書 – CPSR です。
ここでは、さらなる資料や試験データをもとに、最終的に化粧品がEU基準を満たしているか評価を行い安全性について最終結論を出します。
③ 製品ラベル、訴求評価
成分チェックや安全性評価の結果をもとに、EU規制に適合したラベルを作成します。
日本の薬機法と異なり、EU規制では製品ラベルに含まなければいけない情報や注意書きなどがあります。
さらに、製品に対して訴求を行っている場合は、訴求の立証を評価する必要があります。
(注意:日本で立証なしで認可されている訴求は、欧州では立証が必要)
2. CPNP
EU向けのPIF作成が完了後、ヨーロッパの届け出システム – CPNP へ製品の登録を行います。
同システムへの登録は EU内での責任者となる EU Responsible Person (EU RP) が行う必要があります。
3. EU Responsible Person – EU責任者
フランスなどの欧州圏内で化粧品を販売するにあたり、欧州27カ国内に拠点を持つRP (責任者- Responsible Person) を指名する必要があります。
EU RP には重要な義務が課せられるため、これらの義務を履行可能な企業や人物を EU RPとして指名することが重要です。
下記は数あるEU RPの義務の中の一部です。
– EUに上市する化粧品の安全性を確認すること
– EU当局の監査時に窓口となる
– EU規制の動向に注視し必要に応じてPIFを更新
– 望ましくない、または重大な望ましくない影響の報告
世界の化粧品市場は、右肩あがりに成長しており、今後もさらに成長していくと予測されています。
EU規制は確かに厳しいですが、同規制をクリアすることで欧州へ一斉に販売が可能となります。
また、EU規制に準拠している化粧品は、その高い安全性基準から、他国のバイヤーにとっても魅力的な製品になります。
1のステップである EU向けPIF作成にはかなりのリードタイムを要します。
このため、フランス進出を検討されている場合は、少しでも早い時期から規制対応の準備を行うことをお勧めいたします。
執筆者:Kari Owen
Int’l Business Development Executive
Taobé Consulting
https://taobe.consulting/jp/
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これらの重要事項を安易にお考えになってしまうと、現地の規制に引っかかり、現地で輸入できても販売の際にトラブルに見舞われるリスクもあるのです。
そのようなことがないよう、専門家に頼り、必要手続きを済ませることが大切です。
弊社はこのような専門家と提携し、フレグランス雑貨のヨーロッパにおける販売代理業務を行っております。
どうぞご相談ください。
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